50代で転職って、実際どれくらい起きていて、給料はどうなるのだろう。
50代の転職は珍しいことではありません。ただし厚生労働省の最新データでは、50代前半でも転職後に賃金が下がった人の方が多くなっています。動く前に、需要のある職種と、下がっても困らない備えを確認しておきたいところです。
私はまだ会社員で、転職は検討中の段階です。この記事は、公表された数字だけで全体像を押さえる下調べです。
50代の転職は、どれくらい起きているか
50代でも毎年まとまった数の転職が起きています。割合で見ると現役世代の中では低めで、それでも男性の約20人に1人、女性の約13人に1人が1年で転職している計算になります。
厚生労働省「雇用動向調査」(令和7年)では、転職して入職した人は全体で約506万人、転職入職率は9.9%です。年齢別に見るとこうなります。
| 年齢 | 転職入職率(男) | 転職入職率(女) |
|---|---|---|
| 全体 | ― | ―(全体9.9%) |
| 50〜54歳 | 4.7% | 7.9% |
| 55〜59歳 | 5.8% | 7.6% |
55〜59歳の男性の率が50代前半より高い理由については、定年や契約満了後の再就職が含まれる可能性はありますが、この統計だけでは年齢差の理由までは特定できません。
転職すると賃金はどうなるか
最新の令和7年データでは、50〜54歳でも賃金が下がった人(42.0%)が、上がった人(29.4%)を上回りました。前年までと逆の結果です。
| 年齢 | 令和6年(増加−減少) | 令和7年(増加−減少) |
|---|---|---|
| 50〜54歳 | +10.8ポイント | −12.6ポイント |
| 55〜59歳 | ― | −13.4ポイント |
| 全体 | ― | +9.8ポイント |
ネットの転職記事の多くは、今も令和6年の「50代前半は賃金が上がる人の方が多い」という数字で書かれています。最新の公表値では、その前提が崩れました。
ただし、この数字は年によって大きくぶれます。1年で結論が反転するような数字ですから、「下がる」と決めつける材料にも、「上がる」と安心する材料にもなりません。賃金が下がる場合もあるため、応募前に家計・雇用条件・退職後の収入見通しを確認しておくとよいでしょう。
需要があるのはどの職種か
求人が余っているのは、保安・建設・サービス・運転の現場系が中心で、有効求人倍率は全体平均の2倍から6倍あります。
厚生労働省の職業安定業務統計(令和7年度)の有効求人倍率です。
| 職種 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 職業計 | 1.10倍 |
| 保安 | 6.41倍 |
| 建設・採掘 | 5.02倍 |
| サービス | 2.73倍 |
| 輸送・機械運転 | 2.15倍 |
1つ注意があります。倍率は「求人の多さ」であって「採用されやすさ」ではありません。求人が多くても、体力や資格の条件で絞られます。
職業安定業務統計の平均求人賃金(月額)は、管理的職業で32.1万円、専門的・技術的職業で28.8万円です(令和7年度・全国値、パートを除く常用)。介護関係職種は4.07倍(令和6年度)と需要が突出していて、その現実は柱1の2本目「50代未経験から介護の仕事はできる?」にまとめました。
50代の転職先は2つの層に分かれる
年収を維持しやすい傾向があるのは経験を活かせる層で、求人件数が比較的多い傾向があるのは未経験でも入れる現場系の層です。両方を同じ物差しで見ると、判断を誤ります。
企業が中高年の転職者に求めるのは、管理的・専門的・技術的な仕事では即戦力です。事業所が管理的・専門的・技術的な仕事で転職者を採用する理由は、「経験を活かし即戦力になるから」が中心になっています(厚生労働省「令和7年 転職者実態調査」)。また、ニッセイ基礎研究所が厚生労働省「雇用動向調査」(2023年調査)を分析した結果では、50〜54歳男性の転職先は専門的・技術的職業が最も多くなっています。
一方で、枠の数そのものは現場系にあります。「今の年収を守る転職」と「長く働ける形に移る転職」は、別の物差しで比べる必要があります。実際の条件は、地域・資格・経験・雇用形態によって大きく異なります。
自分の時計で逆算すると、何から始めるか
私の場合、役職定年が57歳で、あと数年しかありません。いきなり辞めるのではなく、在職中に全体像と相談先を押さえておくのが先になります。
転職した人の離職理由は、自己都合が81.3%です。多くの人が、会社に辞めさせられるのではなく、自分で決めて動いています。決める側にいるうちに準備できるのが、50代の転職の数少ない有利な点だと思います。
相談先の使い分けは柱1の3本目「50代の転職、相談先はどこがいい?」に、役職定年後の給料の形は柱1の1本目「役職定年で給料はどう変わる?」にまとめています。「残るか、転職するか」を5年刻みの数字で比べた回も、別に用意しています。
まとめ
50代の転職は「できる・できない」ではなく、「どの層で動くか」と「賃金がどうなっても困らないか」で考えるものだ、というのが今回の下調べの結論です。
数字は毎年ぶれます。だからこそ、動く前の下調べと、在職中の準備に意味があります。
出典
- 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査 結果の概況」(2026年8月31日公表)― 転職入職者数・転職入職率(概況13ページ 図4-1)・転職に伴う賃金変動(概況 表6):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaikyou.pdf
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和7年度分(2026年4月28日公表)― 職種別有効求人倍率・平均求人賃金(確認経路:労働政策研究・研修機構の統計紹介ページ https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2026/07/toukei_01.html )
- 厚生労働省「職業安定業務統計」令和6年度 ― 介護関係職種の有効求人倍率4.07倍(上記の令和7年度値とは年度が異なります)
- 厚生労働省「令和7年 転職者実態調査」(2026年9月25日公表)― 離職理由(自己都合81.3%)・事業所側の採用理由:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r07-houdou.pdf
- ニッセイ基礎研究所による厚生労働省「雇用動向調査」(2023年調査)の分析 ― 50〜54歳男性の転職先の職業構成:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=81007
- 確認日:2026年11月5日

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