役職定年が来たら、その先はどうしますか?
私は57歳で役職定年、その先の再雇用の形はまだはっきりしません。柱1の1本目で収入の見通しを整理したあとに残ったのが、「65歳の先で何をして稼ぐのか」という問いでした。
候補の1つとして調べ始めたのが、介護の仕事です。事務仕事・ホワイトカラーの仕事がどんどん厳しくなっている中で、人の手が要る仕事はどうなのか。私は介護の経験がありません。だからこれは経験談ではなく、「50代・未経験から本当に入れるのか」の下調べです。
先に言っておくこと
- 50代・未経験から介護職に入ることは、公的な数字のうえでも珍しくありません
- 入口の資格「介護職員初任者研修」は年齢・学歴不問。在職中に取る人もいますが、両立できるかは勤務形態によります
- 私の計画は「辞めてから動く」ではなく「辞める前に資格だけ先に取る」順番です
50代・未経験でも入れるのか(数字で見る)
介護の現場は、50代が一番多い世代です。
まず需要の側です。厚生労働省の統計では、介護関係職種の有効求人倍率は令和6年度で4.07倍(全職業平均は1.14倍)。人手不足が数字に出ています。
働いている人の側を見ると、介護労働安定センターの調査(令和6年度)では、介護職員の年齢構成は50歳代が28.6%で最大の層です。そして中途で入ってきた人の前職は、「介護・福祉・医療以外」が64.2%。つまり、異業種から入ってくる人の方が多数派という仕事です。
これらの統計から、50代や異業種出身者が介護現場で働いている実態は確認できます。ただし、応募条件や採用判断は事業所・職種ごとに異なるため、個別求人を確認する必要があります。
入口の資格「介護職員初任者研修」とは何か
130時間の研修で、受講に年齢・学歴の条件はありません。
介護職の入口の資格が、介護職員初任者研修です。国の基準では130時間のカリキュラムで、受講対象は「介護の業務に従事しようとする者」。年齢・学歴の要件は定められていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総時間 | 130時間 |
| 通信で受けられる部分 | 最大40.5時間まで |
| 通学が必須の部分 | 残り89.5時間(実技など) |
| 受講の条件 | 年齢・学歴の要件なし |
| 終わり方 | 修了評価(筆記)あり |
無資格でも働き始めることはできますが、この資格があると、訪問介護で身体介護(食事・入浴・排せつの介助など)を担当できるようになります。入口の札として、持っているかどうかで任される仕事が変わります。
費用はいくらか
受講料はスクールによって異なります。教育訓練給付金の対象になる場合もありますが、受給には要件があります。
受講料は地域や日程、通信併用かどうかで異なります。検討するときは、通学可能なスクールの最新の受講料と追加費用を個別に確認します。
費用の負担を軽くする制度として、一般教育訓練給付金があります。厚生労働大臣指定の講座を修了し、雇用保険の被保険者期間などの支給要件を満たす場合は、一般教育訓練給付金の対象となることがあります。初任者研修は指定講座になっているスクールも多いので、受講前に、講座が指定対象か、自分が支給要件を満たすかをハローワークで確認します。
自治体が無料で研修と就職支援をセットにした事業を行っているところもあります。住んでいる自治体に無いか、一度確認する価値はあります。
在職中に取るための時間の設計(私の計画)
平日は通信、土日にスクーリング。私の場合は、この組み立てで両立を目指します。
130時間のうち、通信にできるのは最大40.5時間まで。残りの89.5時間は通学です。だから設計はこうなります。
- 平日の夜:通信分を少しずつ進める
- 土日:スクーリング(通学)に充てる
- 期間の目安:土日中心でも、数か月単位で修了まで持っていける計算です
在職中に受講する人もいますが、スクールの日程、現職の勤務形態、通学時間によって両立のしやすさは異なります。申込み前に欠席時の振替、実技日の予定、修了期限を確認します。
役職定年は私の場合57歳。あと数年あります。「いつか取る」ではなく、「定年までの逆算で、余裕のある今のうちに取る」。資格を取ること自体が目的ではなく、入口の札を先に持っておく、という考え方です。
「きつい」と言われる部分を、正直に見ておく
体力・夜勤・給料の下がり幅。この3つは、先に数字で確認しておくべきです。
いいことばかり書いても仕方ありません。調べた範囲で、正直なところも置いておきます。
給料の現実です。厚生労働省の調査(令和6年度)では、常勤介護職員の月給の平均は、無資格で29万620円、初任者研修修了で32万4,830円、介護福祉士で35万50円でした。これは調査対象事業所に勤める常勤介護職員の平均給与額であり、地域、勤務先、勤続年数、夜勤や各種手当によって実際の給与は変わります。いまの私の収入と比べれば下がります。これは隠せない差です。
体力と夜勤については、働き方の選び方で差が出ます。施設の夜勤が前提の職場もあれば、日中だけのデイサービスや、訪問介護のような働き方もあります。「介護職」と一括りにせず、職場の形態で選ぶ、という視点が要ります。
私はまだ経験していないので、「きつくない」とは言いません。ただ、給料の水準と働き方の選択肢を数字で先に見ておけば、判断は勘に頼らずに済みます。
資格を取った後、すぐ辞める必要はない
資格は、応募のときに示せる基礎資格として持っておくものです。
初任者研修を取ったからといって、すぐに転職しなければいけない理由はありません。その先には実務者研修、介護福祉士という上位の資格もあり、こちらにも年齢制限はありません。段階を踏める道が用意されている仕事です。ただし、採用や担当業務は求人条件と事業所の判断によるため、資格取得後も希望する働き方に合う求人を個別に確認します。
もう1つ、個人的な理由があります。親の介護が始まったとき(柱2で書いた話です)、研修で得る基礎知識が、家族介護に関する相談先や確認事項を整理する手掛かりになる可能性はあります。実際の介護やサービス利用は、本人の状態に応じて地域包括支援センター、医療職、ケアマネジャー等に相談します。仕事の入口としてだけではなく、家族の側の備えにもなる。そう考えると、「先に取る」の意味はさらに大きくなります。
まとめ:私の次の一歩
まずは、近くのスクールの土日コースと、給付金の対象講座かどうかを調べます。
この記事は下調べまでです。私自身の一歩は小さいところからです。
働き方の備えの全体は、柱1の1本目「役職定年で給料はどう変わる?」と、全体地図「50代からの3つの備え|働き方・親の介護・終活を、順番に整える全体地図」にまとめています。
出典
- 厚生労働省「職業安定業務統計」令和6年度(介護関係職種の有効求人倍率4.07倍、全職業1.14倍)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/ippan/detail/01.html
- 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」(年齢構成50歳代28.6%、中途入職者の前職)https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/r06_chousa_01.html
- 厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」(初任者研修130時間、通信最大40.5時間、受講要件)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf
- ハローワーク「一般教育訓練給付金」(費用の20%・上限10万円、指定講座)https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
- 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」(資格別の平均給与)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06kekka.pdf
- 確認日:2026年11月4日(出典URLは2026年11月6日に確認して追記)


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